top of page

Hotel

異国情緒と歴史散歩が楽しめる、ホテルニューグランド

%E5%A4%96%E8%A6%B3%20-%20%E4%BF%AE%E6%AD

ホテル外観

海外旅行がままならない今は、「ここに行くと外国の匂いがする!」と言う場所を探して、異国情緒に浸りたい。そんな気分で訪れてみたいのは、横浜・山下町にあるホテルニューグランド。外国人向けのホテルとして1927年(昭和2年)にオープンしたこのホテルは、クラシカルな石造りの本館と、1991年に増築されたタワー館からなる。 本館は銀座の和光を設計した建築家・渡辺仁によって建てられたもので、1992年には横浜市認定歴史的建造物にも指定されている。海の玄関口である横浜港に面し約1世紀もの間、行き交う人と移り変わる時代を見てきたホテルニューグランドでは、異国情緒とともに歴史散歩を楽しみたい。

船旅が海外旅行の主流だった昔、横浜港はもっとも外国に近い場所だった。多くの渡航者が降り立った横浜・山下町には大正時代から多くの外国人宿が軒を連ねていたという。 ところが大正12年9月1日に起きた関東大震災は、横浜に壊滅的被害をもたらした。瓦礫の山と化した街に以前のような賑わいを取り戻そうと、官民一体となって開業したのがホテルニューグランドである。なのでここは横浜の人たちにとって、復興のシンボルでもあるのだ。

本館階段2017撮影㈰(色調整トリミング有り).jpg

本館階段

山下公園に面した本館エントランスから入ると、すぐに階段が。イタリア製のタイルを施した階段にはブルーのカーペットが敷かれていてフォトジェニック。ここは結婚式のフォトにもよく使われているという。花嫁か、シンデレラになった気分で階段を上がると、厳かに出迎えてくれるのが、本館2階のザ・ロビー。マホガニー材の柱と石柱に囲まれた空間は、マッカーサー元帥やチャーリー・チャップリン、ベーブ・ルースといった世界の著名人を迎えた歴史の語り部でもある。現代に至っても、映画「THE 有頂天ホテル」やドラマ「華麗なる一族」はじめ数多くのコマーシャルなどに登場したりで、時の流れに淘汰されない魅力を醸している。

マッカーサースイート・リビング1(軽).JPG

マッカーサーズスイート

_DSC4628%E6%9D%B1%E9%95%B7%E3%83%91%E3%8

マッカーサーが愛した純米酒「東長」

ゲストルームは本館46室、タワー館で192室。
そのうち本館3階の一番奥、315号室はマッカーサー元帥が滞在した、マッカーサーズスイート。第二次世界大戦後の約7年間ホテルニューグランドはGHQに接収され、高級将校の宿舎として営業していた。マッカーサーは戦後、臨時司令部としてこのホテルに滞在したが、実は新婚旅行でも訪れていたという。室内にはマッカーサー元帥が執務をしたライティングデスクが窓側に置かれ、山下公園や横浜港、氷川丸などが一望できる。

 

この部屋に滞在して、マッカーサーが愛したという純米酒「東長」を楽しむという宿泊プランもある。 富士山をかたどった江戸切子の杯で、GHQ御用達の名酒を楽しむ、ホテルニューグランドならではのユニークな過ごし方と言えるだろう。

また318号室は、昭和の文豪、大佛次郎が滞在した部屋。「天狗の間」とは「鞍馬天狗の部屋」ということで大佛次郎が昭和6年から約10年間、この部屋に滞在し「鞍馬天狗」や「霧笛」などたくさんの名作を生み出した。

500 本館ロビー (5).jpg

本館ザ・ロビー

ホテルニューグランドのダイニングシーンを語るのに、忘れてはならないのが、「シーフードドリア」「スパゲッティナポリタン」「プリンアラモード」。誰もが知っているこの3つのメニューは、実はこのホテルから誕生したものなのだ。

開業時に招いた総支配人と総料理長は外国人で、初代総料理長を務めたのは、スイス人で 当時フランスの3つ星ホテルにいたサリー・ワイル氏。彼はメニューに「コック長はメニュー外のいかなる料理にもご用命に応じます」と書き、ゲストのリクエストに応じていたと言う。アラカルトの生みの親とも言われるワイル氏が、体調のすぐれないゲストのために、ある日即興で作ったのは「ドリア」。バターライスに海老のクリーム煮を乗せ、グラタンソースにチーズをかけてオーブンで焼いた “Shrimp Doria”(海老と御飯の混合)は好評で、やがてレギュラーメニューとなり、ホテルニューグランドの名物料理になった。フレンチの雰囲気を醸し、女性に人気の「ドリア」は戦前の日本生まれとは!

ホテルニューグランドのドリアは、バターライスの上にペシャメルソースと海老のクリームソースが2層になっている。このペシャメルソースは舌触りをよくするために金属の濾し器を使わず、絹を使って裏漉すと言う、とても手の込んだもの。

_T__0688_edited.jpg
_T__0690_edited.jpg

シーフードドリア 

スパゲッティナポリタン

そして、ホテルニューグランドの「スパゲッティナポリタン」はトマトケチャップを一切使っていないオリジナルメニュー。生のトマト、水煮のトマト、トマトペーストといった色々なトマトを使っていて、ナポリタンの概念が覆される味わいになっている。 このメニューを考案したのは、 二代目の総料理長で日本人の入江茂忠氏である。彼はフレンチの味覚を極めるために、生涯味噌汁と漬物を絶っていたという。そんな入江氏が、接収時代に進駐軍の食文化をホテルテイストにアレンジしたものがスパゲッティナポリタンだった。

_T__0619_edited.jpg

プリンアラモード

懐かしの喫茶店メニュー「プリンアラモード」も接収時代、異国に慣れない高級将校婦人たちを喜ばせるために誕生したものだった。横浜発祥のアイスクリームと硬めのカスタードプリンは、ホテル開業時から提供していたもの。それらをフルーツとともに横長のガラスの器に盛り付け、見た目にも可愛いデザートに仕上げている。ちなみにりんごに飾り 切りをしたのもホテルニューグランドが初めてとも言われている。

IMG_0254_edited.jpg

ホテル中庭

IMG_7084_edited.png

噴水

ホテルの敷地には、ヨーロッパの庭園を模したというおしゃれな中庭が。ここはなんとパブリックな空間で、夕方になると散歩にやってくる人もいる。 噴水の上には、旅人を癒すと言われる天使ラファエルが佇んでいる。ホテルニューグランドを訪れたら、この中庭のベンチに腰掛け、旅に出られる日に思いを馳せてみてはいかがだろうか。

Text by 松田朝子

ホテルニューグランド
〒231-8520

神奈川県横浜市中区山下町10番地
TEL : 045-681-1841

FAX : 045-681-1895

www.hotel-newgrand.co.jp/

bottom of page