ビーチリゾートとベトナムの
グエン王朝に想いを馳せる
インターコンチネンタルダナン サンペニンシュラ
プレスツアーに行ったのは、6月だが、記事を書いているのは9月下旬、秋篠宮ご夫妻が日越外交関係樹立50周年式典へのご出席後ハノイからダナンに向かっている、まさにベトナム情報が日本のニュースで流れている時期であった。実は私はその記念行事関連の新作オペラ「アニオー姫」の世界初演に参加したので、ベトナムで原稿を書いていた。 ここでは新作オペラのこともチラッと紹介するが、プレスツアーについてをメインに書いていく。
日越外交関係樹立50周年の記念の年にベトナムを訪れた。昨年に続き3度目のベトナム。今回は、ベトナム航空のプレスツアーでダナン、ホイアン、フエと巡る旅に参加した。
ベトナム航空機については前回記事はこちら。
成田空港からダナンまでは約5時間の空の旅。午前中に成田空港を出発して、機内食をいただきあっという間にダナン空港に到着した。
ダナンは人気のビーチリゾートで、美しい海岸線沿いには、高級ホテルが点在している。ホテルから車ですぐのところに繁華街もあり、ビーチ、ショッピング、食事の全てが揃うリゾート地である。 ホテル選びにも悩むくらい素敵なホテルが数多くあるダナンで、プレスツアーで宿泊したのは、ミーケービーチ沿いのホテル「フォーポインツ バイ シェラトン ダナン」。こちらは高層ホテルで、私の部屋は最上階に近い高層階。海に面した部屋からは、美しい海岸線 を見下ろせる。バスルームにも窓があり、そこからの眺めも最高。シャンパーニュ片手に泡風呂を楽しみたいという雰囲気のバスルームだ。
「フォーポインツ バイ シェラトン ダナン」からの眺め
ダナンは美しい街だ。西洋スタイルとベトナムのデザインをうまくミックスしたラグジュアリーなリゾート地で、独特のリゾートを作り出している。ラグジュアリーなホテルの内と外(街)とのコントラストも面白く、いろんな意味でダナンの魅力は奥が深い。
ダナンには見どころがたくさんある。ドラゴンブリッジ、ダナン大聖堂、ラブロックブリッジ、日本にゆかりのあるホイアンもダナン近郊だ。
最初に向かったのが、ドラゴンブリッジ。橋を撮影していると、ドラゴンの形の橋の上 に、ドラゴンの形の雲が重なっていた。ダブルドラゴン。夜になるとドラゴンがライトアップされて、迫力が増すので、昼、夜両方見ても楽しいだろう。
ドラゴンブリッジ
ダナン大聖堂は、ダナンの街の中心部に位置する。ベトナムには仏教徒が多いけれど、2番目に多いのがキリスト教徒で、この大聖堂が街最大級の教会だ。 ダナンの大聖堂は1924年フランス統治時代に建造が完成した。ネオ・ゴシック様式のローマ・カトリックの大聖堂である。この教会ピンク色でかわいいのだ。 ダナン大聖堂のある通りは、おしゃれなカフェや屋台風のフォー屋さんが並んでいる。ベトナムで最近話題のチョコレートショップもこの通り沿いにあった。カフェでは塩コーヒーというドリンクメニューがあると聞き、カフェに立ち寄ってみた。 コーヒーに塩分を入れて飲むと熱中症対策には良いかもしれないが、私はコーヒーにはこだわりがあるので、トライするのはやめて普通のコーヒーをオーダーした。
ダナン大聖堂外観
ダナン大聖堂の内部
ホイアンを想う
今年9月に日越外交関係樹立50周年の行事に参加されるため、ベトナムを公式訪問された秋篠宮ご夫妻が、ハノイとダナンに滞在して、ダナン滞在中にホイアンに行かれた。
日越外交関係樹立50周年記念の公演となった新作オペラ「アニオー姫」の舞台となるのもホイアン。
新作オペラ「アニオー姫」は、400年前の実話をベースに作られた愛の物語。
2023年は外交関係樹立50周年というが、日本とベトナムは400年前、もっと前から交流があったのだ。今回の外交関係樹立50周年記念のオペラ公演は、400年前に御朱印船に乗っていた日本人の荒木宗太郎とベトナムのグエン王朝の王女ゴック・ホア姫が恋に落ちて結婚して、宗太郎の住む長崎に船で渡り幸せに暮らすが、江戸幕府の鎖国により、ベトナムとの扉が閉ざされてしまい、アニオー姫は故郷に一度も戻ることなく長崎で生涯を終えたという物語。
400年前は、国から認可された商人が御朱印船で東南アジアと貿易をしていた。元武士である宗太郎はベトナムのホイアンで日本の銀、銅、漆器などを売りベトナムの絹などを日本に運んでいた。当時、ホイアンには日本街があったとのこと。当時はダナンの港からベトナム入りして、川をくだりホイアンに向かったのだそうだ。
ハノイにあるオペラハウスの前に貼られたアニオー姫のポスター
フエに向かう前に、ダナンの最高級ホテル「インターコンチネンタルダナン サンペニンシュラ」に立ち寄り ホテル見学と朝食をいただいた。
インターコンチネンタルダナン サンペニンシュラ エントランス
レストラン「シトロン」の人気席
ホテル見学後にフエへ。今回のプレスツアーで一番ホッとした街がフエ。古都だからだろうか。この街には他の街とは違った時間が流れているような感じになった。ベトナムというとバイク量が想像をはるかに超えているが、フエではバイクに乗った人々をほとんど見かけなかった。とにかく静寂と神聖な空気が漂っている。
プレスツアーではバスでダナンからフエに移動した。所要時間は約2時間。ダナンからは列車でも移動可能だ。
ホテルはベトナムのホテルグループ「シルクパスホテル」。ベトナムのフエ、ハノイ他、 ベトナム国内でホテルを展開している。フエシティに位置する5ツ星「シルクパスグランドフエホテル」は、王宮をイメージした造りでエントランスにあるロビーからゴージャス。ロビー隣にはカフェラウンジがあり、毎日スムージーをオーダーして、優雅なひとときを満喫していた。また、ホテルには中庭があり、エレガントで心地よい空間に心が弾んだ。
アンディン宮殿
アンディン宮殿は、以前はフンホア宮殿として知られていて、ベトナム最後の皇帝が暮らした邸宅。フンホア宮殿は、9代皇帝のドンカイン帝が長男(カイディン帝)のためにアンクー川のほとりに建てたが、12代皇帝にな ったカイディン帝は、西洋風に改修して今の建築様式となりアンディン宮殿と名称も変更した。カイディン帝は息子(グエン王朝最後の皇帝バオダイ帝)に宮殿を譲渡した。アンディン宮殿は20世紀初頭のベトナムの新古典主義建築を代表する木造の建築物としてユネスコの世界文化遺産に登録されている。
フエ王宮
古都フエは1802年から1945年までの143年間にわたり、ベトナム最後の王朝、グエン朝の長期政権を築き上げた歴史の舞台だ。グエン王朝の栄華を感じるフエ王宮は、世界遺産に登録された建築物の中で最高峰である。
広大な敷地内には、壮麗な王宮、離宮、歴代皇帝の帝廟、更には劇場もあった。フォン川 に囲まれた立地は、海へのアクセスが容易である。そのため、戦略的にフエを首都に選んだと言われている。城塞内の建造物は、五行、基点、色彩など宇宙論的な観点から配置されているという。北京の紫禁城からヒントを得て建てられた「紫金城」などは必見。
ティエンムー寺院
ティエンムー寺院からの眺望
ティエンムー寺院は、1601年に建立された別名天女の寺と呼ばれ、フエ最古の寺院である。フォン川沿いの小高い丘の上に建てられた寺院からの眺めは美しく、夕暮れ時にはカップルの憩いの場となっていた。
フエの新しいホテル「アゼライ ラ レジデンス フエ」のレストラン「ル・パフューム」でランチをいただいた。アゼライはアマンリゾーツの創業者エイドリアン・ゼッカ氏が手がけるホテルチェーン。2019年にベトナムで2軒目となる「アゼライ ラ レジデンス フエ」がオープンした。インドシナ時代の1930年に建てられたフランス提督の邸宅だった建物をリノベーション。調べてみると、2017年に上皇・上皇后両陛下がご宿泊されたホテルで、その時は「ラ・レジデンス」というホテル名だった。