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三島由紀夫が日本一と絶賛したマドレーヌ

三島由紀夫没後50年。三島由紀夫が「僕の故郷」と毎夏に過ごしていたのが下田だった。

1964年から7年間、三島由紀夫は家族と1ヶ月間、下田東急ホテルに滞在していた。ホテルでは、家族の部屋とは別に書斎用の部屋も借りていたので、執筆をしながら過ごしていたようだ。

下田には、お気に入りのビーチ、お店、ホテル、小説の舞台になった場所や、エピソードが残っている。

​下田東急ホテルからの眺め

三島由紀夫は下田にある日新堂菓子店のマドレーヌを気に入っていた。

「東京でいろんな店のマドレーヌを食べていますが、ここのマドレーヌは日本一ですよ」

とお店の人に言っていたという。

 

日新堂菓子店は1922年に創業。1961年に三島由紀夫が絶賛したマドレーヌが誕生した。卵、小麦粉、マーガリン、アーモンド、はちみつなどの上質な材料で作ったマドレーヌは三島由紀夫が愛した味だからと、当時と変わらぬ味を今も守り続けている。

このお店のマダム、横山郁代さんが、三島由紀夫を下田で初めて見かけたしたのは中学3年生の時だった。三島由紀夫の後を友人たちと下田東急ホテルの側にあるビーチ近くまでつけたという。その後も街中で見かけて三島由紀夫と話す機会に何度も恵まれている。なんとも羨ましい体験だ。

『三島由紀夫の来た夏』

​  横山郁代著 扶桑社

横山郁代さんは、三島由紀夫の下田でのエピソードを一冊の本にまとめた。『三島由紀夫の来た夏』には、三島由紀夫の下田への愛が詰まっている。

本を読んでいて涙が浮かんだのが、三島由紀夫最後の夏に、行きつけの料理店の女将さんに「下田の海は忘れられない」と夜の海を見つめながら言った部分である。

三島由紀夫が日本一と絶賛したマドレーヌ

マダムの話を聞いた後、日本一のマドレーヌを購入した。マドレーヌというと貝の形のものがメジャーだが、こちらのは若干大きめで昔ながらの形で、上品な味である。

マドレーヌといえば、プルーストの『失われた時を求めて』に出てくる味覚から過去の記憶が蘇るという「プルースト効果」を思い出す人は多いでしょう。三島由紀夫はこのマドレーヌを食べて母の作ってくれたパンケーキの味を思い出したのかもしれないと郁代さんは綴っている。

『三島由紀夫の来た夏』は、三島由紀夫の「愛」が伝わる本である。

 

下田東急ホテルについての記事はこちら

 

日新堂菓子店

静岡県下田市3-3-7

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